小説的生き方、マンガ的生き方

小説は、文章以上のものを、どう読者に想起させるかが重要な表現形態だと思う。
対して、マンガは、絵と文を用いて、書いたままの作品をそのまま見せて、できるかぎり「そのまま」を受け取らせる表現形態。

だから、小説で面白いと言われているものは、あまり自分にとって面白く感じられないこともあるけど、
マンガで面白いと言われている作品は、読んでみるとやっぱり面白いものが多い。

これは、マンガが自らの内容を そのまま 見せているため、評価が一致しやすいからだと思われる。

小説は、読む人によって、価値を留保し続けることができると思う。
また、知的な雰囲気さえ漂わせれば、勘違いした人間が勝手に評価してくれるものだ。

自分は、今まで小説的な生き方をしていた。
価値を留保させて、そのままを出し切らない。
相手に委ねて、 とりあえず自分は、 こうだ と見せつけることを避けていた。

マンガ的生き方が、自分にとって良いのだと思う。
そのままを見せる。
自分の実態と評価を一致させる

現代にはマンガ的生き方をする人が増えたと思う。
考えられないくらい愚かなことを、発信したりする。
その結果ツイッターで炎上とか。

でも、そのような人々は、愚かな実態と、その評価が、一致しているという面で、誠実だ。

何も表現せずに、ただ、そういった突出した愚かさにのみ評価を加えて、自分のことは留保し、それに安心できる不誠実さ(この時代の空気)に、自分はそろそろ耐えられなくなっているのだと思う。